下り口説
琉球民謡
さてぃん旅寝の假枕 夢の覚みたる心地して
昨日今日とは思いども も早や九十月なりぬれば
やがてぃ お暇(ぅいとま)下さりてぃ
使者ぬ面々皆揃てぃ 弁財天ぬ伏し拝(う)がでぃ
いざや お假屋立出じてぃ 滞在の人々引連りてぃ
行屋ぬ浜にて立ち別る
名残り惜しげぬ船子供 喜び勇みてぃ帆揚げぬ
祝(ゅうぇ)ぬ盃めぐる間に
山川港(やまぐぁみなとぅ)にはし入りば
船の検(あらたみ)済(し)んでぃまた
錨引ち寄し真帆(まふ)引きば
風やまくとぅに子丑ぬ端(にうしぬふぁ)
佐多ぬ岬ん後に見てぃ 七島渡中ん 安(や)し安しと
波路はるかに眺むりば 後や先にぬ友船ぬ
帆引ち連りてぃ走り行く
道ぬ島々うちちりてぃ 伊平屋渡立つ波押し添ぃてぃ
残波岬んはいならでぃ
ありあり拝むお城もと
弁ぬ御岳(うたき)にうち続(ちぢ)きエイ
袖を連らみてぃ諸人ぬ
迎へに出でぃたや三重城(みぃぐしく)
唄三線:多嘉良カナ子
夫の多嘉良朝成と共に活動した歌手、女優 1899年〜1971年
1940年9月発売 リーガル