時代的な区分としては、J.S.バッハが亡くなった1750年頃をスタート地点とする、「バロック」に次ぐヨーロッパ音楽の流れのこと(〜19世紀初頭)。
作家としてはハイドンや
モーツァルトらに端を発し、
ベートーヴェンを軸として発展した、端正なたたずまいをたたえる音楽である。この風格をたとえて、後の人々が「古典音楽 music in classical period」と呼んだ。
この時代は、ヨーロッパ社会が貴族社会から、フランス革命に象徴されるような市民社会へ、さらにナポレオンの登場による王制復古と激しく揺れ動いたため、古典派の音楽家たちもその立脚点が各時期によって異なり、各人の作風も形を変えていった。
たとえば古典派の三大作家の一人であるハイドンは、貴族社会の中で音楽活動をし、ハイドンよりも20年以上も若い
モーツァルトともなると晩年(19世紀末)は、宮廷の雇われミュージシャンを辞めウィーンで自由な音楽活動に入っている。
モーツァルトよりもさらに若い
ベートーヴェンになると、貴族たちの保護下にありながらも、その作家活動は広い自由を与えられている。
彼ら「ウィーン古典派」とも総称される三大作家の立場はそれぞれに違うものの、大きな視野から見れば、音楽も貴族社会のテイストを反映する作風から、圧倒的な数を占める市民社会の自由の気風を滲ませるそれへと変わっていった時代だった。そういう意味でも
ベートーヴェンは、この流れを全身で受けとめた人物だったといえるだろう。
またソナタ形式が確立し、交響曲や協奏曲などが数多く作られた時代であり、チェンバロに代わるピアノ(ハンマークラビーア)が登場したことにより、これまでよりもはるかに豊かな音量で微細な表現を演奏することも可能になった。
古典派は、19世紀に新しく起こった「ロマン派」に主流の座を明け渡すことになる。