fantasy[英] Fantasie[独]
ファンタジー、ファンタジアとも。自由に思いつくままに作られた曲のことだが、時代によって言葉の使い方が異なる。
16、17世紀の器楽曲においては、対位法に厳密に従うことなく書かれた作品を「ファンタジア」と呼んだ。
また、即興性の強い作品をこう呼ぶこともある。J.S.バッハの「半音階的幻想曲とフーガ」、モーツアルトの「幻想曲ニ短調」K397がそれにあたる。
ソナタやロンドなどの、従来の構成や常識を破ったものに対しても「幻想曲」という言葉があてられる。一例として、ベートーヴェンのop.27がそれで、それまでの常識を超えた構成に対して「
Sonata quasi una fantasia(幻想曲風のソナタ)」と名づけられた(「月光」)。
19世紀の
キャラクター・ピースでは、文字どおり幻想的なイメージの曲を、こう名づけた。シューマンの「幻想小曲集」op.12など。