おおよそ1600年頃から、J.S.バッハが亡くなった1750年までの間に生まれたヨーロッパの芸術音楽。時代的な区分では「ルネッサンス」と「古典派」の間に位置する。
「バロックbaroque」とは、ポルトガル語の「ゆがみのある真珠」が語源とされている。
この時代を象徴する音楽的な技法は「通奏低音」で、特別な曲を除いて幅広く用いられ、続く「古典派」の時代の到来と共に姿を消した。またヨハン・セバスチャン・バッハ(1685〜1750)に代表される、フーガの基本となる「対位法」によって作曲が行なわれた時代でもあった。
フィレンツェに1597年に起こったオペラも、バロック期の17世紀にイタリア全域に広がり現在にいたる基盤をなした。バイオリンという楽器の特性を最大限に引き出した最初の作曲家として知られるモンテヴェルディが、小型バイオリンを使ったソナタを書いたのも、1607年に初演されたオペラ「オルフェオ」の中であった。
時代を代表する作家としては、A.ヴィヴァルディ(1678〜1741)、G・S・ヘンデル(1685〜1759)、D・スカルラッティ(1685〜1757)、
F・クープラン(1668〜1733)、J・S・バッハの息子であるW・フリーデマン・バッハ(1710〜1784)などが挙げられる。