ここに紹介する5種類の楽譜は、単行本『竹田の子守唄 名曲に隠された真実』(藤田正著、解放出版社)から転載したものです。優れた歌が、故郷ではどのようにうたわれ、その後どのように姿を変えていったかを、楽譜ソフト「
Score Grapher」をもとに体験することが可能です(メロディを聴き、印刷することもできます)。
美しい音楽として楽しむだけでなく、学校の教材ほか、人権学習などの場でもこれらの楽譜が使われることを願ってやみません。 (藤田正)
「竹田の子守唄」は、70年代初頭、フォーク・グループ「赤い鳥」によって全国的なヒットとなりました。当時、彼らの見事な歌唱によってこの歌は「日本三大民謡」の一つとされたこともあります。
しかし歌が有名になるにつれ、「竹田の子守唄」が被差別部落にルーツを持つことも知られるようになりました。「出身が部落である」というだけで、この歌は、いつの頃からか放送メディアに乗ることが少なくなっていきました。いわゆる「放送禁止歌」として代表的な1曲が「竹田の子守唄」でした。
『竹田の子守唄 名曲に隠された真実』は、これまでほとんど語られることのなかった「竹田の子守唄」の歴史を、その故郷から説き起こし、日本で独特の発展を遂げた「子守唄」(正確には、守り子唄)とはいかなるものであったかを伝えようとしています。またこの歌が現在、部落解放のカナメとして地元(京都)でうたい継がれていることにもページを割きました。
ここに転載した楽譜からは、そんな時代の流れの中で刻々と変貌していった歌の姿を見る(聴く)ことができるはずです。
「竹田の子守唄(元唄)」:地元の古老の歌声を譜面にしたもの。現時点では最も古い形の歌です(部落解放同盟京都府連合会改進支部による採譜)。もちろん、この元唄にしても、伝承者各人によって歌詞の一部、メロディ・ラインが異なり、ここに記載されたのは、それを整理したもの。歌詞の順序も、特別に決められてはいません。
なお、各楽譜の歌詞の全容については、単行本の中の「楽譜と歌詞」のページ(161ページ)を参照ください。
楽譜 歌詞 A4縦 1頁