セックス・マシーンで踊りたかった 東京音楽通信1
藤田正 (著)
Kindle 価格:¥200(税込)
内容紹介
大阪の解放出版社が発行している月刊誌『部落解放』に、ずいぶん長い間、私は「東京音楽通信」という連載ページを書かせてもらっている。この月刊誌は、題名を呼んでそのまんまの、とても真摯な内容がほとんどだが、その中で音楽にまつわることなら何でもいいと言われて始めた異色の連載だった。毎回私のようなテキトーな男の原稿でいいのだろうか? と思って書いているのだが、各地で色んな方が呼んでくださっているようで、そのお蔭で今も続いているのである。『セックス・マシーンで踊りたかった 東京音楽通信1』は、一九九九年十一月から二〇〇二年二月までの原稿が中心となっている。加えて『Free & Easy』誌に書いたジェイムズ・ブラウンものを巻頭に置いた。この音楽がいい、この音楽は嫌い!と好き勝手に言い合うのが私たち音楽バカの愉しみではあるが、そんな日頃の音との交際から、あぁそう言えば歌と社会とはこのように結びついている、とか、人間って本当に俗っぽいアニマルだな、とか、音楽から読み取れることが多々ある。『セックス・マシーンで踊りたかった』は、ジャンルはまったくバラバラだが、何とはなしにゆるやかな流れが読み取れるのは、かよう音楽を通じて著者が「人間」を見よう語ろうとしているからなのだろう。今回の『1』における流れの一つが「戦争」であろう。これは著者自身が意識したわけではない。だが、「9・11」同時多発テロ以前から、私だけでなくみんなが「戦争濃度」の高まりを肌で感じていた。きっとそれが反映されているのだと私は思う。私はそれに、ちょっとゾッとした。