おさない・かおる。明治・大正期の演劇界において重要な役割を果たした中心人物の一人。一八八一年〜一九二八年。広島市出身。
東大在学中には小泉八雲や
夏目漱石らの教えを受ける。在学中に詩集「小野のわかれ」を発表、卒業後には雑誌「新思潮」を創刊するなど、若い頃から文学運動にかかわった。一九〇九年、歌舞伎役者の市川左団次と共に自由劇場を創立する。自由劇場は、新時代の演劇集団として注目され、その中心人物である小山内は時の人となってゆく。そして、大正末期には土方与志と築地小劇場を旗揚げし、チェーホフの「桜の園」やゴーリキーの「どん底」などを演出、その後の日本演劇界の土台を築いた一人となった。
日本初のトーキーを作るなど映画界でも活躍し、小説から舞台演出、雑誌編集までと、幅広く活躍した人物だった。