大江山 ---- 石原和三郎/田村虎蔵
大江山
石原和三郎
一 むかし丹波の、大江山、
鬼どもおおく、こもりいて、
都に出ては、人を食い、
金や宝を、盗みゆく。
二 源氏の大将、頼光は、
ときのみかどの、みことのり、
お受けもうして、鬼退治、
勢いよくも、出かけたり。
三 家来は名高き、四天王、
山伏すがたに、身をやつし、
険しき山や、深き谷、
道なき道を、切り開き。
四 大江の山に、来てみれば、
しゅてんどうじが、頭にて、
青鬼赤鬼、集って、
舞えようたえの、大さわぎ。
五 かねて用意の、毒の酒、
すすめて鬼を、酔いつぶし、
笈のなかより、取り出だす、
鎧かぶとに、身をかため。
六 驚きまどう、鬼どもを、
ひとり残さず、斬りころし、
しゅてんどうじの、首をとり、
めでたく都に、帰りけり。
|
|