山里 ---- 大和田建樹/芝葛鎮
山里
大和田建樹
一、
みどりしたたるのきの 山
変化つねなきまどの 雲
朝日をそらにおどらせて
うたごゑかれぬ 谷の 水
造化の 腕はわがこころ
とらへてこゝにはや 幾日
二、
目ざむるちごのまくらには
柳のまはすかざぐるま
やねに 友よぶやまばとも
なれちはことばかはすらん
をさなごころにもえそむる
造化の 愛ははや 幾重
三、
すゝきの 波のほがくれに
うきしづみする 女郎花
たゞうちまねく 夕風の
そでさまざまの のべの 秋
かきねづたひにうかれきて
あとみかへれば 妻も 子も
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