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箱根八里 ---- 鳥居忱/瀧廉太郎
明治34年(1901年)3月
『 中学唱歌』
箱根八里
箱根八里
鳥居忱
第一章 昔の箱根
箱根の 山は 天下の 険 函谷関も 物ならず
万丈の 山 千仞の 谷 前に 聳え 後に 支う
雲は 山をめぐり
霧は 谷をとざす
昼猶闇き 杉の 並木 羊腸の 小径は 苔滑か
一夫関に 当るや 万夫も 開くなし
天下に 旅する 剛毅の 武士
大刀腰に 足駄がけ 八里の 岩ね 踏み 鳴らす
斯くこそありしか 往事の 武士
第二章 今の箱根
箱根の 山は 天下の 阻 蜀の 桟道数ならず
万丈の 山 千仞の 谷 前に 聳え 後に 支う
雲は 山をめぐり
霧は 谷をとざす
昼猶闇き 杉の 並木 羊腸の 小径は 苔滑か
一夫関に 当るや 万夫も 開くなし
山野に 狩する 剛毅の 壮士
猟銃肩に 草鞋がけ 八里の 岩ね 踏み 破る
斯くこそありけれ 近時の 壮士
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