寄宿舎の古釣瓶 ---- 小池友七/小山作之助
明治34年(1901年)3月
『 中学唱歌』
寄宿舎の古釣瓶
寄宿舎の古釣瓶
小池友七
一、
繩こそ朽ちたれ この古つるべ
桶こそいためれ この古つるべ
学期試験の準備につとめし
幾千の学生が脳充血を
冷やして癒さん氷となりぬ
彼等が事業を助けん為に
雨の日雪の日つるべのなわの
休まる時なく汲まれしつるべ
屋根もる月こそ昔を知らめ
二、
箍こそはねたれ この古つるべ
苔こそむしたれ この古つるべ
運動会の 競技にきおいし
幾そのチャンピオンが背中の汗を
洗いて落さん浴湯となりぬ
彼等が元気を回さん為に
夏の日冬の日轆轤の音の
絶えにし暇なく汲まれしつるべ
軒ふく風こそ昔を知らめ
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