作曲家。なんといっても
大伴家持の古歌をもちいた
「海ゆかば」が有名(信時の前に、海軍の礼式歌として東儀秀芳がメロディをつけた作品がある)。
牧師の子として大阪に生まれる。
東京音楽学校で器楽や作曲を学んだのち、ドイツに留学、そののち同校の教授として教鞭を取った。
作曲家としてたくさんの作品を残したが、文部省唱歌としては「兵隊さん」、大作「海道東征」(1940年、皇紀2600年祝賀のため作られたカンタータ)、ほかに「沙羅」「小倉百人一首より」などがある。「海道東征」もそうだが
北原白秋との作品も多い。
「海ゆかば」は、「長田暁二氏によれば、昭和十二年NHKの依嘱により、総理大臣その他顕要の地位にある人が放送で講演をする場合のテーマ音楽として作曲したものだったという」(『日本の唱歌[下]』金田一晴彦、安西愛子編/講談社文庫)
「昭和十八年十二月、文部省と大政翼賛会では、この歌を儀式に用いることを決め、『君が代』に次ぐ準国歌の役割をした」(同書から)
1964年、勲三等旭日中綬章。
なお「サッちゃん」などの童謡でも知られる作家、
阪田寛夫には信時潔を描いた小説「海道東征」がある(1987年、川端康成文学賞受賞作品)。