深林逍遙 ---- 乙骨三郎/マルシュナー
明治42年(1909年)5月31日 発行
『 中等唱歌』
深林逍遙
深林逍遙
乙骨三郎
一、
晝なほ 小闇き 木々の 下蔭
散りしく 落葉に 道もわかぬ
深き 林をひとりたどれば
鳥だに 來鳴かぬあたりの 静けさ
遠き 谷間落つる 水の
たぎつ 音か 響かすか
さら さら さら
さら さら さら
二、
幾年舊りにし 太き 老木の
梢ははるかに 雲にそびえ
根にはむす 苔色ぞさびたる
此處こそ 浮世の 外ぞとおもふに
打つや 何處森の 彼方
杣が 業か 斧のひゞき
ちやう ちやう ちやう
ちやう ちやう ちやう
|
|