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笠置山 ---- 池辺義象/南能衛
明治42年(1909年)5月31日 発行
『 中等唱歌』
笠置山
(かさぎやま )
笠置山
池辺義象
一、
吹き 巻く 炎に 雨風加はり
ふせげどふせげどいまはやすべなし
木の 丸殿は 見る 見る 燒けぬ
��みし 木戸はみなみなやれぬ
敵はなにものかまくら 賊徒
嗚呼笠置山大君おはす
てだてもつきぬこの 殿や
二、
立蓋ふさぎりに 道さへ 見わかず
かしこし 大君みゆめのこゝちに
手に 手を 取りて 落ち 行き 給ふ
ゆくへもくらき 谷かげ 木かげ
たのむあたりは 千早のあたり
あゝ 笠置山いまはやおちぬ
おほぎみいづこかしこしや
三、
��みにたのみし 赤坂金剛
はかると 知らずておちつきたまへば
思ひもたがふ 六波羅館
時雨も 漏るや 板屋のおまし
ぬるゝ 御袖はひる 時あらず
あゝ 牢の 御所軒うつ 雨に
涙もそひぬあゝかなし
四、
波さへさかだつ 潮路の 八潮路
かぜをもいとはず 雨をもきらはず
みふねはいそぐこじまの 隠岐に
おましはなりぬ 板屋のみとの
元弘二年くれゆくはるべ
あゝ 蜑衣の 重なるうらみ
かこつもあはれ 世のさまや
五、
山かぜ 波かぜあらびにあらびて
ゆくへもわかたずはてしもあらせず
みそらはくもり 日かげも 見えず
上らん 月のかげだに 知らず
笠置破れて 二年三年
あゝかりごものみだるゝみ 世や
おもへばうたてあゝかなし
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