詩人、小説家。小説家としては部落問題をテーマとした問題作「破戒」や、「夜明け前」などの作品で知られる。
長野県の旧家に生まれ、明治女学院や東北学院で教鞭を取る。文学活動は明治学院を卒業後から活発となり、詩や小説、評論などを『文学界』に発表、そして、最初の詩集である『若菜集』(1897年)、同じく『落梅集』(1901)によってその名声は決定的なものとなった。
小説としては自然主義文学の大家として、上記の2作のほか「春」「家」などがある。
唱歌として有名な「椰子の実」は、『落梅集』に記載された詩に
大中寅二(作曲家、オルガニスト)がメロディをつけたもので、柳田國男の「海上の道」にこの詩ができた由来が書かれているのも有名である。歌となった藤村の作品としては、ほかに
「朝」や
「千曲川旅情の歌」も知られている。