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アリヤリヤンの歌 ---- 北原白秋/弘田龍太郎
アリヤリヤンの歌
北原白秋
鳩がなきます、タンクの上で、ヨウ、
かはい聲して、ほろほろと、
蠶うまれてまだ七八日、
春も暮れます、うつうつと。
アリヤリヤン、コリヤリヤン
アリヤ、リヤンソロ、リヤン。
月が出ました、川瀬の蘆に、ヨウ、
水にや河鹿もころころと、
お繭仕上げて、絲とりそめて、
夏も過ぎます、そよそよと。
アリヤリヤン、コリヤリヤン
アリヤ、リヤンソロ、リヤン。
百舌が急きます、製絲所の屋根で、ヨウ、
赤い陽に來てきりきりと、
心ぼそさに出て空見れば、
秋も去にます、遠々と。
アリヤリヤン、コリヤリヤン
アリヤ、リヤンソロ、リヤン。
雪がふります、寄宿の窓に、ヨウ、
障子あければちらちらと、
山の向うのあの故郷よ、
冬も盡きます、きえぎえと。
アリヤリヤン、コリヤリヤン
アリヤ、リヤンソロ、リヤン。
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北原白秋 |
きたはら・はくしゅう
明治18年1月25日〜昭和17年11月2日
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弘田龍太郎 |
ひろた・りゅうたろう
明治25年6月30日〜昭和27年11月17日
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北原白秋/弘田龍太郎の楽譜 |
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