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うらしまたろう ---- 石原和三郎/田村虎蔵
うらしまたろう
石原和三郎
一 むかしむかし、うらしまは、
こどものなぶる、かめをみて、
あわれとおもい、かいとりて、
ふかきふちへぞ、はなちける。
二 あるひ、おおきな、かめがでて、
「もうしもうし、うらしまさん、
りゅうぐうという、よいところ、
そこへあんない、いたしましょう」
三 うらしまたろうは、かめにのり、
なみのうえやら、うみのそこ、
たい、しび、ひらめ、かつお、さば、
むらがるなかを、わけてゆく。
四 みればおどろく、からもんや、
さんごのはしら、しゃこのやね、
しんじゅやるりで、かざりたて、
よるもかがやく、おくごてん。
五 おとひめさまに、したがいて、
うらしまたろうは、三ねんを、
りゅうぐうじょうで、くらすうち、
わがやこいしく、なりにけり。
六 かえりてみれば、いえもなし、
これはふじぎと、たまてばこ、
ひらけばしろき、けむがたち、
しらがのじじいと、なりにけり。
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