鳥かげ
1
繭を
選り
選り、
薄日の
窻に、
何か、
鳥かげ、
氣にかかる。
2
諸絲をたてたて、
繰絲湯の
繭に、
何か、
日が
射しや、
氣がうだる。
3
撚りにつけつけ、
蠶の
絲、
小絲、
何か、もつれりや、
氣がぢれる。
4
坐繰りからから、
隅こで
一人、
何か、
百舌が
啼きや、
氣が
急きやる。
5
絲を
繰り
繰り、
大枠、
小枠、
何か、
光れば、
氣が
焦やる。
6
束は、つやつや、
白絲、
黄絲、
何か、ねぢれば、
氣がしまる。
7
蛹棄て
棄て、
小蓼のかげに、
何か、
蟲啼きや、
氣がふさぐ。
(註)以上三篇は、上州富岡原富岡製絲場の女工たちのために作つた逍遥歌や作業歌であす。