農夫の吟 ---- 大和田建樹/奥好義
農夫の吟
大和田建樹
一、
蛙なく 門田の 水に
けむりゆく 雨のどかなり
今ぞ 時生ひたつ 苗も
今ぞ 時なはしろ 水も
山吹の 花さへ 浮けて
静かなるわが 世富ませり
知るや 人山田の 里の
春のこころを
二、
夜はあけぬ 雲雀はそらに
日ははれぬ 雉子は 谷に
いざ 子ども 残りし 麦を
刈りてこん 背板わするな
孫も 来ていちごある 野に
木の 葉笛ふきても 遊べ
知るや 人山田の 里の
朝のこころを
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