大正11年(1922年)
『金の塔』
黄金虫
短い歌だが、そのノッソリとしたマイナー調のメロディがコガネムシのイメージに(たとえこの虫を知らなくても)ぴったり、と思わせる。童謡のスタンダードの一つ。
ただし一説によれば、雨情が思い描いていたコガネムシとは、チャバネゴキブリのことだったのではないかと言われている。彼の出身地である北関東地方(茨城県)ではチャバネゴキブリをコガネムシといい、この虫が家にたくさん住みつくとその家は裕福になるという伝説があった。日本の民俗に関心の深かった雨情ならではの作詞かも知れない。