手の鳴る方へ
「鬼さんこちら、手の鳴るほうへ…」という目隠をして遊ぶ歌があるが、これと関連深い歌。ようやく歩き始めた幼児に向かって、親たちが「こちらにおいで」と手を叩いているイメージなのだろうか。
二番以降は「竹に雀」「梅にウグイス」と、おめでたい文句が並べられているが、こ調子よく軽快な言葉選びは、かつての大神楽や万歳といった放浪芸、あるいは遊郭での芸者遊びなどと根を同じくするものなのだろう。
ちなみに歌舞伎「
仮名手本忠臣蔵」の「
一力茶屋の段」でも、主人公の
大星由良之助が鬼になって女たちに「手の鳴る方へ、手の鳴る方へ」と言わせるよく知られた場面がある。