大正10年2月18日(1921年)
『「赤い鳥」童謡 第四集』
金魚
これが子どもたちのための歌かどうか、判断に苦しむ、猟奇的ともいえる作品。
成田によるメロディが、幼稚園のお遊戯の歌のように「悪意」のないものだけに、母親不在のさみしさ、くやしさを金魚を殺すことで紛らわす主人公の性向が、突出して見える歌となっている。
幽霊屋敷をテーマとしたような「
月夜の家」と同系列の作品であると同時に、日本の土着歌に造詣が深かった白秋だけに、うらみ歌、なげき歌として発展した無数の子守唄から発想を借りた作品と言えるのかもしれない。
大正7年、「舌切雀」や「あわて床屋」などと同時期に作られた歌。