大正11年(1922年)
『金の塔』
シャボン玉
雨情・晋平コンビによる代表作の一つ。『野口雨情民謡童謡選』(1962年)に収められた年譜によれば、雨情がこの歌(詞?)を最初に発表したのは大正9(1920)年だと記されている。一般にはその2年後の『金の塔』。
歌詞にあるように、シャボン玉を膨らませ、飛ばすという一連のイメージを子どもたち自身が共有しやすいように作られており、この点だけにおいても作詞家作曲家二人の、深い才能を感じることができる。
雨情は明治41年3月に先妻(高塩ひろ)との間に長女をもうけた。しかし長女はわずか7日で亡くなってしまう。彼の詞は、この悲しい事実がきっかけとなった、とも言われており、確かにその視線で「シャボン玉」を詠めば、雨情の一連の作品群を流れる「失われゆくもの」「失われてしまったもの」に対する情感が、この作品にも色濃く反映されていることがわかる。