少女の死 ---- 大和田建樹/辻則承
少女の死
大和田建樹
一、
一嵐こずゑにすぎて
初花のいろもとゞめず
宵の 雨くもよりおちて
見えそめし 月もかくれぬ
あな 君は 月か 花か
春ふかきさかりのこして
のぞみのこして
二、
霞たつうみのあなたに
君すむとたのみをかけて
雲のみち 雁のゆくへも
なつかしく 眺めしものを
玉章もゆかぬ 里に
うつりぬといふは 真か
きくはまことか
三、
父母はなどてかきみを
しばしとはひきとめざりし
ひとりゆく 旅路もかなし
のこさるゝ 此世もさびし
そらに 飛ぶ 星とみえて
消えしづむはかなの 君や
あはれそのかげ
|
|