明治45年(1912年)
『
尋常小学唱歌 第三学年用』
冬の夜
冬の雪国に暮らす両親子どもの姿を描き出した歌。ともしび、縫い物、囲炉裏という、もはや今の日本にはない文化が象徴的に並べられている。
「外は吹雪」というしっかりとしたオチの前に、きたるべき春を語る母、かつての戦争の功労を語る父という対比が作られたプロフェッショナルな構成がなされている。
「過ぎしいくさの手柄を語る」の部分は、戦後「過ぎし昔の思いで語る」と改められ、思想的にまるで違う歌になってしまった。
1912年(明治45)年、『尋常小学唱歌 第三学年用』に発表される。