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詩集『都会と田園』「家鴨」 野口雨情
大正8年(1919年)6月発行
詩集『都会と田園』より
家鴨
うしろの田の中に 家鴨の子が
田螺を 拾つて喰つてゐると
雁が来た
一所に連れてつてやるから
勢一杯翼をひろげて飛んで見ろと
雁が云つた
家鴨の子は一生懸命飛んで見たが
体が重くてぼたりぼたり落ちて 了ふ
雁は笑ひ笑ひ飛んで行つて了つた
家鴨の子は泣き泣き 小舍の前に帰つて来た
親家鴨は
桶の中へ 首を入れて水を呑んでゐた
子家鴨は
別な 良い 翼をつけて 呉れろと
大声で泣いてゐる
親家鴨は仕様なしに
そつちの方を向いて
聞えぬ振りをしてゐた
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野口雨情 |
のぐち・うじょう
明治15年5月29日〜昭和20年1月27日
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詩集『都会と田園』 野口雨情著 |
詩集『都会と田園』
大正8年(1919年)6月発行
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