民謡集『おさんだいしょさま』「もと米磨ぎの唄」野口雨情
大正15年(1926年)6月発行
民謡集『おさんだいしょさま』より
もと米磨ぎの唄
桶をながめてお米が 磨げりや
お百姓さんは
田さへながめりや 蔵が建つ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
一桶磨ぐのにや十桶の水 汲み
夜明けの明星は
まだまだチラリだ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
この桶あげなきや仕込みがおくれる
仕込みがおくれりや
お 暇出される
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
お暇出されりや 酒蔵とおわかれ
そのときや
あの娘と泣きわかれ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
そのときやそのときおさらばさらばだ
天道さままかせに
足まかせ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
さうなりやこの地へ来年来るやら
当てさへないから
当更あの娘と泣きわかれ
(トコ トコダト磨ぎぬきな)
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