大正10年8月10日(1921年)
『「赤い鳥」童謡 第五集』
夢の小函
日本の従来の子守唄から、どんどんイメージを膨らませていった歌。「かわいい」「桃色」といった柔らかで暖色なキーワードと、そら恐ろしい「ネズミのお化け」とを対比させるところなどに、子守唄や里謡を徹底して採集した白秋が、その研究素材を土台としながらも独自の世界観を作り出そうとした姿勢が見える。
草川信による伴奏が、とてもモダンで、画一化されていく「童謡」を超えていこうとしているかのようだ。
白秋にとっては「はなれ小島の」と同じ時期の作品(大正9年)。