大正10年(1921年)8月10日
『「赤い鳥」童謡 第五集』
はなれ小島の
南国の離れ小島の椰子の木を、人に見たて、「都会の空」「雪夜」という椰子とは正反対のキーワードを用いることで独特の寂寥感を際立たせた。白秋、大正9年の作。「どこかで春が」「夕焼け小焼け」を書いた作曲の草川信も、詞の世界を的確に表わしたメロディを付けた。
日本が「南」にようやく目を向け始めた時代ならではのエキゾチシズムを背景にした歌であり、未だ見知らぬ南国や椰子を描いた結果、反対に「北」の人々の感性の特質を浮かび上がらせる結果となった。
詞の中にある「およる」とは、宮中などで使われる言葉で、「寝る」の意味。